2017年11月29日
【作品インタビュー 第3回】うど(独活) 2011年制作

【作品インタビュー 第3回】うど(独活) 2011年制作

うど 原画写真 [2011年制作]

運営horiokohkichi(以下 運営K)
さて、前回からだいぶ時間が経ってしまいましたが、第3回目の作品インタビューです。
今回は2010年制作の「うど(独活)」についてお話を伺っていきたいと思います。
たか子先生よろしくお願い致します。

奥山たか子先生(以下 たか子先生)
お世話様でございます。
どうぞよろしく。

 

その時が縁

運営K:さて「うど」なんですけど、これも前回の「たけのこ」同様にご自身で採りに行かれたものですか?

たか子先生:これはですね、テニスクラブに、近くの農家のイケメンさんが野菜を売りにくるわけです。
買って帰るクラブの会員さんが多いから、お野菜をみんな100円で売るわけです。
みんな、ウドをこうしてああして料理をするのって。でもわたし、うどの料理したことないわけです。
まぁ、それはそれでよくって、1本100円でしょ。もう、嬉しくて嬉しくて、調理できなくなるまで、デッサンするのです。

運営K:そうなんですね。どこかに行ってかと思っていたら割と身近なところで(笑)

たか子先生:そう。でも、どっかに行って持って帰ってこれないものは、現場に行って書かなきゃだめ。だからパネルを現場に持って行くこともあった。
スケッチブックじゃだめだと思って。そこで全部デッサンから始めてやったんだけど、まあヘトヘト。

蓮の花をずーと写生していて、ある時水面に映った蓮の逆光が素晴らしくって。
でね、その翌日行ったらね、もう様変わりして。
時期が終わって8月の終わりだったので、その水がすっかりみんな流れてしまって、全部地面の中に吸い込まれてたこともあって。
だから写生するっていうことは、ほんとにその時。明日行ってあると思うなと、自然は。容赦ありません。

運営K:自然が見せる一瞬の美しさですねぇ。

たか子先生:そうそう。だから、行った時に必死になって写生しないと。明日雨降って行けなかった、その次も雨だった。3日目に行けたってもう感じは変わってね。そういうことが多々ありますね。
だから「その時が縁」なのです。

運営K:「その時が縁」。確かにそうですね。なんか良い話ですねぇ。

たか子先生:大抵私は車に乗って農家の山奥に行くじゃない。
あ、いいなぁと思って一生懸命描きます。
で、明日もよろしくお願いしますって農家のおばさんに一応は声かけてきたわけですが、
次の日に行ったら、周りきれーいに掃除されちゃって。あそこにいっぱいあった枯葉がよかったのに、おばあさんがきれいに掃除しちゃって。(笑)
「はいどうぞ」っていうわけ。きれいに掃きこめられちゃって全然なくなっちゃって。「おばあさん、あの葉っぱどうしたの?」って言ったら、「きれいにしといたよ〜」って。(笑)
今更葉っぱください、撒きますからとは言えないわよねぇ。(笑)

運営K:(笑)

 

艶めかしいですか?うど?

運営K:一瞬の美しさを切り取るという意味では、写真家と似たところがありますが、画家さんたちは明らかにご自身のフィルターを通して描く作業になると思うんですね。そういった意味でいうと、この「うど」なんかは料理に使う野菜という感じがしませんけどこれは一体…

たか子先生:ウド見ると、なんかほら、ウドって艶めかしく見えませんか?

運営K:なまめかしい…? ですか?うど?

たか子先生:これを個展で見た人が、
「奥山さん、エッチだよなーって。ちょっとくすぐってんじゃんって言うから。」
「そうだよーあなたわかるぅ?」って。
そうやって男の子は見たわけ。「あなたわかるねー。」っていって、「テニス倶楽部の100円のウドだろーっ」て、「そうよー、ウドよーっ。」て。(笑)

運営K:楽しそうですね(笑)

うど 原画写真 [2011年制作][写真:うど(原画)]

 

ごく普通に描いたらこうなるのよ。

運営K:あの、第1回のインタビューでの話にあった、「白い実」の流れからいうと、自然の美しさに開眼して写生をするようになったということでしたが、それから11年後にこの艶めかしさを敢えて描くというのは…

たか子先生:いやいや、あえてではなくて、普通に自然に。なんてことはない。ごく普通に描いたらこうなるのよ。
艶めかしいと感じる人と感じない人がいるわけ。これは絶対私にあってる。こういうテーマ大好きって感じですかね。

運営K:いや私もですね、聞くまでは分からなかったですが、でもなんとなく不気味なというか、陰鬱な感じを個人的な感想ですがありました。お話を聞いてから見ると、確かにビジュアル的に艶かしく見えてきますねぇ。

たか子先生:そう。だってそうやってビジュアル的にしたんだもん。

運営K:でもそう見えない人も多そうな気がする。(笑)

たか子先生:そりゃ。絵なんて見る人の自由な解釈に委ねるわけです。でもその人みたいに「エッチだなー」なんて言うの。いいですよね。(笑)

運営K:私もデザイナーの端くれですが、分かりませんでした(笑)
でもこれ飾るとしたらどこに飾るんですか?

たか子先生:八百屋さん。

運営K:(笑)八百屋さんにあったら強烈ですねー。それは面白いかもしれない。

 

「パッとみて、アッと思うわけ。」

たか子先生:まぁ、このウドだけじゃないけど、パッとみて、アッと思うわけ。
もうこれを見逃す手はないなっていうのがあるわけです。私の琴線に触れてるわけです

運営K:それは、描きたくなるということですか?

たか子先生:描きたくなる。もう描かなきゃ〜って。描きたい、と。(笑)

運営K:なるほどー。それが、100円のウドでも描かなきゃと(笑)

たか子先生:これが1万円もするようなウドだったら買わないけど、100円でしょ。
料理はしないけど、ごめんねーって感じ。(笑)

運営K:すごい目のつけどころですよね。

たか子先生:もうそれはしょうがない。琴線がビクビクビクビクしてるわけです。

運営K:そこに素直にしてないとやっぱり、描けないですもんね。

たか子先生:そう。でも、見過ごす場合もあるかも知れない。でも、それは仕方がないよね。
自分の目がちゃんと働いてないわけよね。ボーっとしてたりなんかしたりするけども、まあ、それはそれ。
でも、なんかいつも常にどこ行ったって、遊んでるようだけど、これ絵になる、って常に気にはしてるのです。
それが今は絵作りができるから、部分的なものがあったら絶対これは離さないって感じ。
その部分的なものを要するにメモし、そして、構図を作る。

運営K:頭の中でコラージュした像が思い浮かぶという感じですか?

たか子先生:そう。チョイス出来るようになってるわけ。窓はあそこの村の窓。これは近所の窓。あれは山寺の方の、全部合成して。
それで玄関はここの玄関借りて、そこの前で写生できないから、じゃあ写真撮らせてもらって、アレンジして。
よく言われるわけ。「これ実景なの?」って。いや半実写ですって答える。
実景は実景だけど、全部組み合わせ。私の絵はイメージから組み立てて創作します。

運営K:おぉ、凄いですねぇ。”その時が縁” の風景に出会って、それもコラージュの要素としているなんて。
今回は絵作りの話まで聞けちゃいましたねぇ。
さて、そろそろこの辺りで締めたいと思いますが、たか子先生的にまだ何か話たいことなどありますか?

たか子先生:特にないです(笑)。描きたい絵がたくさんあって困ってます。

運営K:それは、楽しみですね。新作の発表もこのブログでお知らせしていきますので、「奥山たか子作品」ファンの皆様には、暫しの間お待ちくださいという感じで宜しいですかね。

たか子先生:はい。宜しくお願い致します。

運営K:分かりました。たか子先生、ありがとうございました。

たか子先生:こちらこそ、ありがとうございました。

 

編集後記

皆様、今回のインタビューはいかがでしたでしょうか?
これまで同様に、話は脱線しながら進んでしまいましたが、現在の絵作りの話なんかも聞けて、良いテキストになったんじゃないかなと思っています。
「うど(独活)」気になる方は、ぜひその艶かしさをご覧頂いて気に入ったら「いいね」や「シェア」を宜しくお願い致します。
前回、前々回とインタビューもありますので、カテゴリーのインタビューリンクから一覧もご覧ください。
では、次回の作品インタビューもお楽しみに。